■文章編10      ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓      ┃ ┃      ┃ エディタ あれこれ ┃      ┃ ┃      ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ■エディタ,とは ここでは,「エディタ」という言葉をテーマに,いくつかの用語に触れてみ ましょう。 みなさんは,「エディタ」という言葉から何を連想するでしょうか。「テキ ストエディタ」「グラフィックエディタ」「パターンエディタ」「サウンドエ ディタ」,このあたりがオーソドックスなところですね。それからコンピュー タとは関係ないところで,「EDITORS' ROOM」(Oh!FMTOWNS の編集後記の載っているページ)などで使われている「エディター」という言 葉を思い出す方もおられるかもしれません。何年か前には「職業,エディター。 週末,活字を忘れる」とかいって,おじさんがスカッシュにいそしむテレビC Fもありましたし。 先に,一般的な(辞書に載っているような,という)意味でのeditorから片 づけてしまいましょう。 世間でいうところのeditorとは,そうです,ご存じ「編集者」のことで,O h!FMTOWNSなどの雑誌や本をこしらえる人たちのことです。特集や連載記 事の企画を立てたり,ライターの書いた原稿をまとめてレイアウタや印刷屋さ んに渡したり,出来をチェックしたりするのが主なお仕事。 そうですねえ,だいたい性格は陰湿で目付きも悪く,行動パターンは粘液質, 他人のアラは見逃さないが自分の発言にはルーズ,といったタイプが多いよう です(←と,いうような原稿に赤を入れ,内容に手を加えるのも編集者のお仕 事の1つ。・・・・さて,どんなふうに文章が変わってしまうかな?)。(編集注 :一切,手は加えてません。・・・・日記に書いておくぞぉ > 隊員B) さて,そろそろ本題に入りましょ。 編集者の方々をなぜ編集者というかといえば,当然,その方々の仕事の中心 が「編集」にあるからで,コンピュータソフトウェアの「エディタ」も同様に 何かの材料を切ったり貼ったりして「エディット」,すなわち「編集」するた めのツール(道具)ということになります。主なジャンルを並べてみましょう。 〔テキストエディタ〕 テキスト(文書)を編集するツール。 TOWNSでしたら,Townsシステムソフトウェアで「テキスト編集」のア イテムをクリックすると立ち上がるEDIT.EXPやEDIT.EXGというプログラムがこ れにあたります。また,MS-DOS用の市販ソフトウェアなら,RED2, Final,MIFES,日本語Brief,VZ Editor,あるいは,TOWNS用 フリーソフトウェアのWINKやHEat,EDIAなどなどがテキストエディ タとして著名なものでしょう。MS-Windows上では,秀丸というエディタの 評価が高いようです。 テキストエディタの用途は,とにもかくにも文書を作成,編集することです から,日記を書こうが手紙を書こうがパソコン通信用のアップロードファイル を書こうが自由です。それ以外に,パソコンならではの用途としては,プログ ラムのソースリストを作成すること(C言語やアセンブラのソースリストを書 いたり,BASICのプログラムを書いたり)や,バッチファイル(BATの拡 張子の付いたファイル)を書くこと,などがあります。 ちなみに,巷にソフト,ハードのあふれ返る「ワープロ」なるものは,この テキストエディタにプリントアウト機能が付加されている,ということが,そ の最低必要条件と考えられます。 〔グラフィックエディタ〕 コンピュータグラフィック(CG)データをエディット(編集)するツール です。 画用紙と絵具と絵筆の組み合わせ,といった感じですね。TownsPaintIIや manyCOLORS,ARTemisやNORA-PAINT,乙女座等をお使いの 方には,もう説明することもないでしょう。 もちろんエディタというからには,単に絵を作成するだけでなく,でき上が ったデータに後から修正を加えられることがポイントです。レイトレーシング ツールなどのCG作成ツールや,イメージスキャナを使ったグラフィックデー タ取り込みソフトなどは,ただそれだけでは「エディタ」とはいえません。 なお,MacやWindows上で著名なPhotoshopなどのグラフィックエディタは, スキャナやデジタイズによって取り込んだ自然画を加工する機能が非常に強い ことから,グラフィックエディタというより,「レタッチソフト」と呼ばれる ことが多いようです。 〔パターンエディタ〕 ゲームプログラマが新しいマシンを手にしたとき,必ず最初に作る,といわ れるものです。 機能的にはグラフィックエディタに似ていますが,グラフィックエディタが たいていディスプレイ全画面分に匹敵する大きな「絵」を編集の対象とするの に対し,パターンエディタは,縦横が数ドットからせいぜい数10ドット程度の 文字フォントやゲームキャラクタのスプライトデータ,TownsMENUやTow nsGEARで使用されるアイコンデータなどのパターンを対象とし,それを拡 大表示した画面に対して編集作業を行うところに特徴があります(ゲーム用の マップエディタのように,結果的には大きなデータを作成するものもある)。 Townsシステムソフトウェアで「アイコン編集」のアイテムをクリックする と立ち上がるICNEDIT.EXPや,「スプライト編集」のアイテムクリックで立ち 上がるSPREDIT.EXPなどがこれにあたります。 〔サウンドエディタ〕 コンピュータサウンドを奏でるには,楽譜にあたる演奏曲データ(拡張子EU PのEUPHONYファイルや,拡張子MIDのスタンダードMIDIファイルな ど)が必要です。また,TOWNSの内蔵音源で演奏するには,音色を設定し たファイル(拡張子PMBのPCM音源音色ファイル,拡張子FMBのFM音源音色 ファイル)が必要です。一方,音楽演奏とは別に,サンプリングした音声デー タや効果音を納めるファイルもあります(拡張子SNDやWAV)。 これらのうち,演奏曲データを入力・編集するのがミュージックエディタ, 音色データや音声データを編集するのがサウンドエディタ,といっていいでし ょう。 ■操作系の用語あれこれ スペースがないため,エディタの機能をすべて網羅するわけにはいきません が,ここでは,疑問に思われやすい,エディタ関連の用語をいくつか取り上げ てみましょう。 〔ダイヤモンドカーソル〕 キーボードにある↑↓←→のカーソルキーのうち,とくに硬くて美しいもの をダイヤモンドカーソルと・・・・いうはずはありませんね。 ダイヤモンドカーソルというのは,アメリカのロングセラー英文ワープロ 「WordStar」が採用して有名になった,CTRLキー併用のカーソル操作の ことです。基本的には,CTRLキーと同時に押すキーとして,E,X,S, Dがそれぞれカーソルキーの↑↓←→にあたり,AとFが,それぞれ単語単位 での左,右方向への移動,R,Cがそれぞれ半ページ単位の上,下方向への移 動となっています。 この機能は左手の小指でCTRLキーを使うことに慣れてくるともう離れら れないほど便利なもので,数多くのテキストエディタで(部分的なりに)採用 されています。 〔コピー,カット&ペースト〕 一般に,この機能がなければ,当節とてもテキストエディタとは見なせませ ん(ちなみに,この機能は別にテキストエディタでのみ使われるものではなく, グラフィックエディタでも領域のコピー,カット&ペーストというメニューが まま見られます)。 さて,まず「コピー」ですが,ここで安直に文章の一部を複写することだろ うなと考えるのは混乱の元です。エディタ操作で「コピー」というときは,ま ずカーソルなどでテキストの一部分を領域指定し,それを「メモリ中のカット バッファに」コピーすること,なのです。要するに,文書中のほかの場所にス トレートに複写するのではなく,いったんポケットにしまうのだな,と考えて ください。ちなみに,「コピー」の場合は,文書の指定された領域が削除され るわけでなく,そのまま残ります。 削除するのは,「カット」のほうです。この機能では,「コピー」と同じよ うにカーソルを移動させて領域を指定すると,それをバサッと削除してその分 のスペースを詰めてしまいます。で,削除した情報は,やはり「コピー」のと きと同じように,ポケット,すなわち「カットバッファ」にしまわれるわけで す。 さて,次に「ペースト」(糊,糊で貼り付ける,といった意味)が登場しま す。ポケットにしまったテキストをどこかにペタッと貼り付けること,これが 「ペースト」の役割なのです。 ・・・・「えーっ,さっぱりわからない」というみなさんの声が聞こえてくるよ うですが,これは各種エディタを実際に操作してみればどうということのない ことです。「コピー」はテキストの一部を削除せずに取り込むこと,「カット」 は削除して取り込むこと,「ペースト」は取り込んだものをどこかに出力する こと。つまり,「カット&ペースト」で「移動」,「コピー&ペースト」で 「複写」が実現するわけです。 Townsシステムソフトウェアの「テキスト編集」や,RED2,EDIAな どのテキストエディタで,ぜひ確認しておいてください。これらのテキストエ ディタでは,「カット」は「選択(PF6) 」+「削除(PF7)」,「コピ ー」は「選択(PF6) 」+「確定(PF8)」,「ペースト」は「複写(P F9)」で行います。このPFキーの6〜9の割り振りは,最近のエディタで はかなりオーソドックスなものですから,覚えて(身に付けて)おくとあとあ と便利でしょう。 〔カスタマイズ〕 用語というのとはちょっと違いますが,最近のテキストエディタのトレンド として,いかにカスタマイズできるか,つまり自分好みに手を加えられるか, ということがあります。たとえば,PFキーのメニューにどのような機能を置 くか,CTRLキーを使ったときにどのような機能を使えるようにするか,と いうことが,自分で自由に設定できる,ということです。 この機能は,エディタによって名称が異なり,たとえば「環境設定」だとか, 「外部マクロ」だとか言われていますが,結局はエディタプログラム本体を起 動するときに,外部のCONFIGファイルやDEFファイルなどを参照する というものです。 エディタによっては,この機能が非常に強力で,キーマクロだけでテトリス もどきができたり,また,ソフトメーカーによってマクロファイルコンテスト が開かれたり,といった活況を示しています。 〔アンドゥ(UNDO)〕 「覆水盆に返らず」「It is no use crying over spilt milk」こそは洋の 東西を問わずこの世のならい,だったのですが,そんなことで大切なテキスト データやCGデータをおしゃかにされてはかなわん,と心あるプログラマの方 々が各ソフトウェアに付けてくれているのがこの「アンドゥ」という機能。 早い話が「1ステップ,元に戻ってやり直し」ということです。 「しまった,文章の一部をうっかり消してしまった」「せっかく苦労して描い た○○ちゃんの髪の毛に余計な色を付けてしまった」というようなときに,こ の機能は働きます。テキストエディタの中には,このアンドゥが数100ステッ プも効くものがあり,試したことはありませんが,さぞや壮観だろうなと思わ れます。もちろん,この機能はかなりメモリや技術が必要なものなので,すべ てのエディタに付いているわけではありませんし,すべての局面で使えるもの とは限りません。 お手元のエディタには,どのようなアンドゥ機能があるか,どこで使え,ど こでは使えないのか,一度確認しておいてはいかがでしょうか。 ■エディタ購入ガイド さて,最後に,購入時に気になる,エディタのよしあしのチェックです。 もちろん価格帯や使い手の趣味嗜好による違いはあるものの,要は朝昼晩と 真面目に働き,豊かな知識,旺盛な企画力,原稿整理は正確敏速,ライターに は親切で,締め切りを多少過ぎたくらいではガミガミ怒ったりせず,たまには 食事でもおごろうとか,このソフトをあげようとか・・・・おや,編集の○△さん, どうかしました? 顔色がすぐれませんが。